生産現場を支える仕事で
今治の産業を守り、盛り上げたい
矢野 浩通YANO HIROMICHI
株式会社トップファクトリー今治
製造部 生産管理課
結婚を機に地元の愛媛に戻り、地場産業を盛り上げたいとの思いから2019年にトップファクトリー今治に入社。今治タオルへの静かな愛情を内に秘め、商品を世に届けるために生産管理に奔走している。
生産管理は机上ではなく、
人とのやりとりで動く仕事
仕事内容について教えてください。
今治タオルは多彩なデザインや織り方が特徴です。特にトップファクトリー今治のタオルは、片面が風合い豊かなガーゼになっているものや、刺繍の入ったものなど種類もさまざま。社内工場で行っている織りや刺繍だけでなく、糸染めや洗い加工、パッケージ詰めなど外部の協力業者に依頼している工程も多く、製造段階では右へ左へとタオルが動きます。私が担当する生産管理の仕事は、この製造工程の全てを把握し、納期通りに商品を生産するために材料の発注や工程の調整を行うことです。
最初は全ての業務を並行して進めることが難しく、「あれどうなった?」と聞かれて慌てて対応することもありました。突発的な変更が起こることも多く、思い通りにはなかなか進まないもの。そんな時はお客様に一日でも早く商品をお届けするための最短距離を考え、社内の生産部門や協力業者などあちこちに工程の変更をお願いするため走り回ります。生産管理は机上で完結するものではなく、人とのコミュニケーションがとても多い仕事なんです。もともとは内気な性格でしたが、この仕事のおかげで「自分で考え、相手に伝える力」が身につきました。
タオルのカット機の開発に携わり
地元企業の生産効率アップに貢献
印象に残っている仕事は?
織り機などの機械の導入も担当しているのですが、タオルをカットする機械が老朽化し、設備を更新することになった際に、機械メーカーに協力して新しいカット機の開発に携わりました。どうすれば生産部門が作りやすく、使い勝手が良くなるか、現場の社員にヒアリングしながら、メーカーにさまざまな改善策を提案しました。実際に機械が製品化されて社内の工場に導入されると、これまでより少ない人手で一度にカットできる枚数が増え、生産効率が2倍にアップ。現場から「仕事がはかどるよ」という喜びの声を聞くことができました、また、他のタオルメーカーにもそのカット機が広まり、今では今治の各地に20数台が導入されたと聞きました。
私の提案が社内の生産現場の役に立ち、うれしく思ったことはもちろんですが、他の今治タオルメーカーの生産効率も向上し、地場産業に広く貢献できたことにはさらに大きなやりがいを感じました。実は当社に入社を決めたのも、私の故郷である今治の産業を盛り上げたいと考えたから。人々の生活を豊かにする「生活文化創造企業」という当社の理念を通して、影ながら地場産業を守り支えることができるなら、こんなにうれしいことはありません。
今まで以上に目線を広げ
会社を牽引できる存在に
今後の目標は?
生産管理は「会社の頭脳」と言われる重要な部署です。目の前の作業の流れだけではなく、全体の生産工程やコスト、商品に関する知識も把握した上で、俯瞰して社内を見渡すことができる視点を養うことが今の一番の目標ですね。係長に就任してからは管理職としての自覚が芽生え、その気持ちがいっそう強くなりました。みんなを不安にさせないように、今まで以上に明確に分かりやすく指示を出すことを心がけ、会社を牽引できる人材を目指します。
また、現場では何かとトラブルが発生するものですが、それを防ぐにはお互いの問題意識を共有するためのコミュニケーションが欠かせません。幸い、当社には物腰の柔らかい人が多いためか、後輩、先輩、上司関わらず意見を言い合ったり、「こんなふうに変えていきたい!」と提案したりと、なんでも話せる雰囲気があります。商品を作るにあたっても、みんなのアイデアを聞きながら一からもの作りに励んでいるところが他社とは違う、一番の魅力。これからも現場と管理者の間に立ち、コミュニケーションでお互いの意識を共有しながら、どんな問題もみんなで解決していきたいと思っています。
(文:山本佳弥 写真:大坊崇)