連載コラム「トップホールディングス誕生物語」

連載「トップホールディングス誕生物語」COLUMN

1964年に父が創業したトップ産業を引き継いで、2代目として歩んできた歴史をトップグループ3社設立とともに振り返り、2023年にグループを統括するホールディングス会社設立までを記した連載コラム「トップホールディングス誕生物語」。 多様な時代背景の中で生きた激動の歩みとトップグループの成り立ちが、お読みいただく皆様の未来につながることを祈りながらお届けします。

【第六章】「仲間の笑顔のために」という文化が培われた20年

社員たちには、この会社にいる意義を感じながら働いてほしいと思っています。
仕事を通じてそれを実感できることが一番ですが、入社1年目、2年目ではなかなか難しいもの。新入社員でもすぐに「役に立っている!」という実感が得られて、誰かに喜んでもらえる体験をしてほしい。

そう考えて始まったのが、委員会活動とイベントです。委員会では、社内報の発行や社員が講師を務める研修会、イベントでは年末のかくし芸大会やスポーツ大会、社員全員参加での棚卸などの機会を設け、部署を超えてチームを作り、手作りで企画を進めていきます。

活動を始めた当時は、システムの変更や本社の移転など、劇的な変化を遂げていた頃。同時に会社は急成長を遂げていて、それを社員も実感してくれていました。変わっていく感覚があったからこそ、みんなが会社に参画するというこの活動を受け入れてくれていたのだと思います。イベントは今でも、毎回とても盛り上がります。

コロナ前まで継続していたかくし芸大会などは、賞金が掛かっているからか、自腹でお金をかけてまで作り込むようになってしまったため、会社から出す補助金の枠内で収めるようにルールを作ったり、社外での練習を禁止したりと、みんなの熱を抑えるのに苦労したほどです。

通常業務に加えての委員会活動やイベント準備は、大変に違いありません。それでも、自分が努力をしたことで、必ず周りの人が喜んでくれます。今年のスポーツ大会では、懸命に準備を進めてきた社員が白熱するみんなの姿を見て、最後のスピーチで「皆さんに楽しんでもらえて、やってよかった」と感動した様子で語ってくれました。努力の結果、仲間を笑顔にできたことに、自分の存在意義を見出してくれたと思っています。

この活動は、他部署への理解や、仲間への思いやりにもつながっています。
例えば、普段は全く別の業務に携わっている社員が、社内報作成を通して自社の中核をなすカタログ制作業務の難しさを体感したり、棚卸を通して自社の商売を成立させている商品の実物を見ながら現場の苦労を味わったり。すると、もっと仲間の仕事を楽にするにはどうすればいいか、自分達の仕事からそれを助けられないか、と考えてくれるようになります。

人は、理屈ではなく心で感じて動くもの。この活動を始めてから、チームのために、仲間のために、努力をする姿が以前にもまして見られるようになりました。

単に、給料をもらうためだけの仕事じゃない、という文化がこの20年強で醸成されました。そして、この社風を支える社員の存在があったからこそ、その後の新規事業の立ち上げを乗り越えることができたのだと思っています。

※ 次回、第七章は10月2日(水)に公開です。